今更だがWikipediaは面白い。身近にあるモノが成り立った歴史を読んでいるだけでもあっという間に時間が過ぎる。そして、その意外な発明話や歴史を知って驚く事も珍しくない。
3000年前のハサミと、120年前のクリップ
例えばハサミ。
実に3000年以上も昔の遺跡から見つかっている。
例えばゼムクリップ。
まだ発明されてから120年も経っていないそうだ。
例えばシャーペン。
あの複雑な構造ながら、200年も前に発明されている。
・・・まぁ100年や200年なんてあんまり前でもないような気もするけど、 たとえば200年前というと文政の時代。歴史の教科書で学んだ、あの大塩平八郎の乱や天保の大飢饉よりも前の時代だ。ペリー来航もシャーペンの開発から30年も経ってからの話になる。この頃は福沢諭吉の絶頂期でもあった。彼もシャーペンを使った事があったのだろうか?
ハサミは今でこそ誰でも知っている道具として定着している。しかし、それがまだ存在していなかった時代にこんなものを発明出来るというのは本当に凄いことだ。ハサミはとても単純な仕組みで成り立っており、2本のものさしをうまくハサミの様に組み合わせれば紙を切る事が出来る。つまり、ハサミがハサミとして成り立つ為には刃の性能は然程重要ではなく、その構造こそが肝要というわけだ。
こんなもの、誰でも作れそうだ。原理や仕組みを知ってしまえば誰でも作れそうな単純な道具。まさにコロンブスの卵。でも、ハサミを知らない人間がハサミを発想する事は途方も無く難しい事なのではないか?普通の人間とはどこか違うものの見方・考え方の出来る人間が、歴史に名を残すような偉大な発明者となれるのだろう(まぁ、ハサミの発明者は不明だが・・・)。
そのハサミだが、世界で最も古いものは紀元前1000年の古代ギリシアの遺跡から見つかっているという。実に3000年も前。当時日本はようやく縄文時代が終わりを告げ、弥生時代に移行しようとしていた時期。どんだけだ。いや、単に見つかっている中で一番古いというだけで、実際の発明はさらに前という事になる。古代ギリシアの元となったトロイア文明の興りは紀元前2600年。ハサミの発明も、さらに1000年以上さかのぼる可能性だってあるのだ。
発明の面白いところは、その複雑さが発明の難易度に比例するとは限らないところにある。クリップがある。針金を曲げただけの単純なアレ。ハサミなんぞよりもはるかに単純な構造をしており製作も簡単だ。だというのに発明はハサミから遅れる事2900年。その間、この単純な発想に至る人間が現れなかったという事だ(クリップに必要な細さと柔軟さを併せ持った金属が登場するまで待たなければならなかった可能性もあるが)。
今から新たな発明は可能か
物の発明というのは本当に難しく奥深いものだという事を思い知らされた。現代はさまざまな道具が開発され、本当に便利な世の中だ。しかし、それだけに素人による新たな発明というものは難しくなっている。誰でも思いつけるような、それでいて実用的なもの。正直無理難題なような気がする。
最もちょっとやそっと考えたくらいで思いつけるようなら誰も苦労はしないし、だからこそ偉大だし価値がある訳だ。今後はどんな発明品が出てくるのだろうか?出てきてみれば、「あぁ、盲点だわ・・・」と唸らされるようなもの。納豆かきまぜ棒とか、かかとの無いスリッパとかそういった一種のアイディア商品的なものではなく、人々の生活に大きな影響を与えるようなもの。可能ならば是非とも自分がその当事者となってみたいものだ。
農業・産業に続く第三の革命
そういえばパソコンもそうだ。瞬く間に全世界に広まり、 今では無くては世の中は成り立たないまでの存在になった。稲作がおこった農業革命、労働の機械化がおこった産業革命、そしてまさにいま起きているこの大きな流れをIT革命という。数千年の人類の歴史の中でもこれ程急激に生活環境が変わった例も無いだろう。あまり自覚は無かったが、その歴史の転換点に生きる事が出来ているのは幸運だ。残念なのは、パソコンが普及しはじめた当時の自分がまだその意識をもてないガキンチョであった事だろうかw
幸い、今は某IT企業の研究開発部門に所属している。あくまでも一企業の一部門であり、会社全体として研究をおこなっている研究機関とは比べるべくもないが、それでも日進月歩のITの世界の最先端に積極的に関わっていける恵まれた立場だ。あとどのくらい異動せずに研究開発を続けられるかはわからないが、いつか大きな成果を出してみせるという意気込みを新たに来週からの仕事もまた頑張ろうと思う。