『神域の森』伊勢神宮(内宮)

10月の連休に、三重県の鈴鹿サーキットへF1日本グランプリを観戦しに行きました。観戦翌日の連休最終日、鈴鹿からも近い伊勢神宮を参拝してきましたので記事に起こします。F1観戦の模様はこちらをどうぞ。

伊勢神宮(内宮)の基本情報(あくまで参考程度に)

公式Webサイト
Wikipedia
Google maps


【住所】三重県伊勢市宇治館町1
【営業】5:00〜19:00(月により変動するので要確認
【料金】無料
【駐車場】有料(複数箇所ある。参考
【問合せ先】神宮司庁(電話 059-624-1111)
【所要時間】約120分(※幾つかの要因により大混雑)
【客層】若年者4割、高齢者6割、男女比6:4、単身者皆無

【個人的評価】4.5/5点
★★★★★:行かないと人生損してるレベル
★★★★☆:宿泊旅行の主目的になりうる
★★★☆☆:日帰り旅行の主目的になりうる
★★☆☆☆:宿泊/日帰り旅行の副目的になりうる
★☆☆☆☆:別件の用事で近くにあったら寄ってみたい
☆☆☆☆☆:可も無く不可も無く

天照大御神を祀る社(やしろ)

「伊勢神宮」は通称で、正式には単に「神宮」といいます。設立は垂仁天皇26年(西暦紀元前4年)で、弥生時代から続く2000年以上の歴史があります。総計125ものお社があり、2つの正宮が距離をおいて建てられています。この2つの正宮は皇大神宮(こうたいじんぐう)、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)といい、それぞれ内宮(ないくう)・外宮(げくう)と呼ばれています。

内宮に祀られているのは皇室の祖神であり日本人の総氏神と言われる太陽の神、天照大神(あまてらすおおみかみ)、外宮に祀られているのは豊穣と衣食住の守り神とされる豊受大神(とようけのおおかみ)です。外宮を参拝した後に内宮を参拝するのが正しい参り方であると言われていますが、内宮のみを参拝する観光客が多いらしいです。

伊勢神宮の式年遷宮は20年に一度ですが、2013年は島根県にある出雲大社の50年に一度の式年遷宮と同じ年に被っているという事もあって大変な話題となっています。

式年遷宮:お社を新しく造り直し、神様にも気分を新たにしてもらおうという催し

ところで、江戸時代には「男一度は伊勢と吉原」という言葉があったそうです。読んで字のごとく、この二箇所には行かないと男として認められないという意味です。それだけ日本全国から参拝客を集め、おおいに崇敬されていたのでしょう。

さて、本来ならば先述の外宮から内宮へという正しい参り方で参拝したいところですが、この日はメンバーのうちの何人かが新幹線で名古屋から東京に戻る事になっており、予約した新幹線の発車時間の都合で内宮のみの参拝となりました。

朝食バイキング。・゚・(ノД`)・゚・。

10月14日、松坂駅前のホテルで目を覚ます。時間を見ると、出なければならない時間まであと30分しかない!寝坊だー!(;´Д`) 急いで身支度を整え、使われないままゴミ箱行きとなった朝食バイキング券との別れを惜しんで松坂駅へ。この日は、F1を一緒に観戦した面々と再度合流して伊勢神宮へ行く事になっています。合流は伊勢市駅で、ここからタクシーで内宮へと向かいます。

ちなみに朝食抜きでお腹がすいていたので、コンビニでおにぎりでも買って済ませようかと思ったのですが、松阪駅にも伊勢市駅にも近くにはありませんでした・・・。

タクシーで伊勢市駅を発ったのは10時丁度頃ですが、内宮へ向かう道はそれなりに混雑していました。一般車線の渋滞を尻目にバス用レーンに入り込んでスイスイ進んでいくタクシーや自家用車もたまにいましたが、そうした輩はレーンの最後で交通を取り締まっている警察官に止められ、一般車線への合流を許可されずに対向車線に誘導されて元来た道を戻らされていました( ´,_ゝ`)プッ

とりあえず自家用車で行くのはよした方が良いのではないかと思われます。道中の渋滞だけでなく、駐車場の待ち時間も発生するので多分めちゃくちゃ大変です。バスかタクシーを使うのが良いでしょう。

※混雑する式年遷宮の年の中でも特に混雑する時期での経験談なので、それ以外の場合はそこまででも無いのかもしれません

タクシーを降りたのは伊勢神宮の手前にあるおかげ横丁。江戸の昔から存在する、参拝客向けのお店が立ち並ぶ通りを再現したそうです。

江戸から明治にかけての伊勢路の代表的な建築物が移築・再現され、この地方の魅力が凝縮されており、三重の老舗の味、名産品、歴史、風習、人情まで、一度に体感していただけます。町並みの特徴は、伊勢人が“神様のお住まいと同じ平入りでは恐れ多い”と妻の部分に玄関を設けた「妻入り」と、雨風の強い伊勢ならではの外壁の仕上げ「きざみ囲い」などが主です。建築材料は、トガ(栂)材を使用しています。

おかげ横丁について

ここおかげ横丁には色々なお店があります。有名な赤福、練り物や海鮮の串焼き、コロッケ、アイス、かき氷、お酒、お土産などなど。式年遷宮の影響からか、人は凄く多かった。さて、まだ10時半とお昼には早いのですが、一人合流が遅れているので、待つ間にご飯を済ませてしまう事に。やっぱり名物の伊勢うどんがいいね!という事でうどんのお店へ!

手こねずし・伊勢うどん 手こね茶屋

選んだのは手こね茶屋というお店。外観写真を撮っていなかったのでGoogleストリートビューより拝借。

時間が早いので特に待たずに通されましたが、食べている最中にどんどん入ってきてあっという間に店外まで行列ができていました。12時のお昼時どまんなかはどれだけ混むのか想像もつかないレベル。式年遷宮でない普段はどんな感じなのでしょうね。

今回頼んだのは手こねずしと伊勢うどんがセットになった「名物あわせ(茶碗蒸し抜き)」、1,260円也。他の人は名物合わせの他手こね寿司単品など頼んでいました。

いやー、手こねずし美味しかったです。見た目には漬け丼のような感じですが、実際漬け丼のようなものでした。具?はマグロです。・・・うーん他に書く事ないやw

伊勢うどんはぶっというどんで、具はネギだけ。このお店ではトッピングもあって、卵とかアオサとか色々ありました。でも伊勢うどんは基本的に具は殆ど無いものみたいですね。甘みのあるつゆは少ししかかかっておらず、かけうどんのよう。つゆは醤油そのものであるかのような色の濃さで見るからに味も濃そうなのですが、実際には逆に薄味というギャップが凄かった。もうちょっと、味が濃いと嬉しかったかな〜。でもあっさりしていてこれでいい気はするな。

ぶっとい麺はとても柔らかくて、コシ?何それという代物。普通の麺よりも大幅に長く、実に一時間くらい茹でるんだそうです。一時間!?この柔らかさは人を選びそうだなぁw 俺は別にコシが無いと駄目とか思わないので、手こねずし同様こちらも美味しく頂きました。

食後、お店を出てしばらく後に残りの一人とも無事合流。いよいよ内宮へ向かいます。

皇大神宮(内宮)へ

五十鈴川にかかる宇治橋を越えて、天照大神が鎮座する正宮を目指します。

この宇治橋の前と後ろにそれぞれ構えている鳥居は神明鳥居といい、前回の式年遷宮で取り壊された内宮の古殿の建材で出来ています。これは次の式年遷宮、さらにそのまた次の式年遷宮ではそれぞれでまた別の場所の鳥居となるそう。

宇治橋は全長102メートルで、これも式年遷宮の度に作り直されます。自分達が参拝したのはもう今年の式年遷宮が終わった後なので作り直されたばかりだったという事になりますが、建材が古いためか「新しく作り直した感」はありませんでした。この橋から正宮までは1600メートルと、そこそこ距離があります。頑張っていこー。

混みすぎわろた

先述の通り、今年は伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮、出雲大社の50年に一度の式年遷宮が同じ年に行われるという事で大きな話題となっています。日本人は流行りものが大好きなので、大きな話題イコール激混みであろう事は想像に難くありません。

今回参拝した10月14日、その2日前に発行された記事を見てみます。

今年の参拝客数が1895年の統計開始以来初めて、1000万人を突破したと発表した。20年に1度の式年遷宮効果で今年は年明けから参拝客が大幅に増加。先月20日には900万人を突破し、過去最多だった約883万人を超えていた。

伊勢神宮:今年の参拝客1000万人超…遷宮効果で大幅増

記事の時点で今年もまだ三ヶ月を残した状態で、過去最高の883万人を大きく上回る1000万人の大台を突破。・・・集客効果どんだけだよ・・・(;´Д`)

参拝した10月14日には、さらに人が集まる理由がありました。この前日まで、伊勢神宮から電車で一時間の距離にある鈴鹿サーキットでF1日本グランプリが行われていたのです。日本人ドライバー不在などの影響で前年より大きく入場者数が落ち込んだとはいえ、2013年度の入場者数は8万6千人(決勝日のみのカウント)だったそうです。さらにこの日は祝日であり、「日本GPのついでに参拝」がしやすい状況でした。勿論この8万6千人全員が「ついでに」と伊勢神宮にやってくる訳ではありませんが、間違いなく流れてくる人は相当数居たはずです(実際、参拝客の中にもF1チームのレプリカシャツやキャップを身に付けている人をちょこちょこと見かけました)。

お守りを授与してもらった

まぁ文句言っても仕方がないので、おとなしく行列に並んでゆっくり進んでいきます。途中で警備員によって道の片側を開けるように言われる事が何度かありました。これは皇族が乗った車が通る為だったり、神職の方々が通る為だったりと理由は色々でしたね。

神職の方々が列をなして歩いてくるのに何度かすれ違いました。

神楽殿の前には御札授与所があります。ここで行列からちょっと抜けて、めいめい自分用だったりお土産だったり、のお守りを授与してもらいます。俺は交通安全祈願のお守りを授与してもらいました。

行列に戻ってまたゆっくり進んでいると、また警備員さんに道を開けるように言われました。今度は何が通るのか、と待っていると、やってきたのは神職の方々の行列。大きな箱を担いでいるけれど、これってさっき見かけた奴だねきっと。警備員さんが喋っている内容が良く聞き取れなかったのだけれど、「衣替え」という言葉が聞こえました。この時は「神社で働いている人達の衣替えかな?」と思ったのですが、帰ってから調べたら違いました。

この日10月14日は、例年 神御衣祭(かんみそさい)が行われており、名前の通り神様の衣替えだったようです。観光客に対して特に説明などを行う訳でもなく粛々と行われており、恐らく大勢居た観光客の中には自分の様に何が行われているのか全くわからないままに見物している人も居たでしょうね。勿論見世物ではありませんし、それで良いと思います。

鎮守の杜(もり)の神秘性やばい

宇治橋からずっと、鬱蒼とした森のなかを歩いてきました。涼しくて気持が良く、並んでいる時間は長いのに雰囲気のおかげなのかイライラしなかったのが印象的でした。

この伊勢神宮の鎮守の森は、日本中の鎮守の杜の中でも最大の面積を誇るんだそうです。実に5500ヘクタールにも及び、伊勢市の3分の1、世田谷区と同等、甲子園球場の1300倍、だそう。

もともとは、式年遷宮の際にはこの鎮守の杜のヒノキを使って社その他の建て直しを行っていたそうですが、一度の式年遷宮で使用されるヒノキはなんと1万5千本にも及び、一枚の板でなる正宮の扉に使用するヒノキは樹齢400年を超えるものなのだとか。ヒノキも成長には約200年を要する事から、消費に供給が追いつかず、鎌倉時代の頃には既に鎮守の杜のヒノキは不足していたようです。江戸時代に入ると、全国からの参拝客向けの薪などにも利用されるようになって更に消費量が増加し、現在では別の場所から取り寄せたヒノキを使用しています。(詳しくはWikipediaにゆずります

そこで、1923年になって鎮守の杜のヒノキによる式年遷宮を再び実現するべく、森林経営計画が策定されました。この計画によって1925年から植林されているヒノキが成長する200年後に、式年遷宮で利用しようというものです。200年計画という事で、計画の達成をみるのはまだ100年以上先の2125年となり、今生きている人達は恐らくそれを見ることは叶いませんね。

100年後の世界がどんな世界だかわかりませんが、きっと今よりは多少なりサイバーな未来なのでしょう。そんな中でも、2000年以上の歴史を誇る伝統と木造の荘厳なお社、そして神秘的な雰囲気をもつ鎮守の杜が今と変わらぬ姿であり続けて欲しいと思います。

この鎮守の杜ですが、本当に静かで、気持ちのよい所です。人々の話し声による雑音は勿論あるのですが、都会特有の喧騒がありません。話し声と足音が無くなれば、辺りは静寂に包まれる事でしょう。日本神話の中でも最高クラスの神が祀られた神域であるという雰囲気と空気によるものでしょうか。ただの森のようなのに、神聖な雰囲気をビンビン感じます。長い待ち時間でもなぜか終始穏やかな気持ちでのんびりと構えていられたし、小さな子供連れの人も沢山居たのにその子どもたちも皆大人しく静かにしていたように記憶しています。

・・・と、ここまでその神聖な空気の素晴らしさを訴えたところで、メンバーのうちの東京帰還組の3人はタイムアップとなってしまいました。まだ正宮までの行列は続いており、参拝出来るまで並んでいると新幹線に間に合わなくなってしまうのです。残念ながら3人はここで引き返し、俺ともう1人でその先に進む事にしました。

ようやく見えた、御正宮

長い行列もやっと終わりが見えてきました。鳥居をくぐった先は撮影禁止になっています。

お願いごとに関しては、非常に個人的かつ俗な内容でしたが、お賽銭を投入して”二拝二拍手一拝”してきました。「○○出来ますように」ではなく「○○出来るように力をお貸し下さい」というスタンスでお願いすると良いそうです。そりゃあ、神様だって単なる神頼みだけの人よりは本人に努力の意思ありの方が好感持てますもんね!今のところまだお願いごとは叶っていませんが、地道に頑張ろうと思います。何を願ったかって?それは内緒(;´Д`)

ちなみに伊勢神宮の正宮は四重の垣根に囲まれており、一般の観光客は最も外側の垣根のみを越える事が出来るようになっています。つまり、正宮正宮と書いてきましたが、通常は本当の「正宮」を見る事は出来ません。2つ目の垣根の外で参拝する事になる訳ですが、ここにはお賽銭箱が設置されていません。元々はお賽銭を投じてお願いごとが出来るのは天皇のみであるといわれている為で、お金を投じる為の代わりの場所があるので、皆そこに投じています。

日本最大級の陶器市場、伊勢器市

参拝後は来た道を戻ります。行列の待ち時間の要因は正宮での一連の参拝に拠るところが大きい為、復路はスイスイと進む事が出来ます。

最初の宇治橋を越え、おかげ横丁に戻ってきました。ここで酒粕ジェラートを買って食べたり、お土産のお酒を買ったりした後はバスで伊勢市駅まで戻りました。伊勢市駅に着いた後、駅前にこの夏にオープンしたばかりの陶器市場(名窯即売市場 伊勢器市)を見て回ります。

写真は撮っていませんが、様々な陶器が展示・販売されており、中々見応えがありました。幾つか気に入るものもあったのですが、現在の我が家の食器はいずれも洋風で、和洋の食器を収納出来るだけのスペースも無いので購入は断念しました。個人的には和風の食器の方が好きなので、いつか入れ替えられればと思っているのですが・・・。気軽に行ける距離にこういう市場があるといいんだけどな〜!

伊勢神宮総括

基本的に俺は無神論者で神の存在は信じていません。神様は信じていないけど、でもお願いごとはするんですよね・・・勝手な奴ですね(っ・ω・)っ

・・・が、信仰を馬鹿にするつもりは無いし、実際に聖域・神域と言われるようなところでは他所とは一種異なる空気を感じるのも確かです。今まで生きてきた中で間違いなく最大級の神聖さを体感した事で、正直なところ神様をちょっと信じても良いかなと思うようになりました。この空気は実際に体感してみないと伝わらないものです。故に、今回の個人的評価は「宿泊旅行の主目的として是非行ってみて欲しい」という事でほぼ満点の4.5点としています。江戸時代の「男一度は伊勢と吉原」じゃあありませんが、現代であっても「一度は行っておくべき場所である」と自信を持って言えます。

今回の伊勢神宮参拝では、日本有数のパワースポットに挙げられるだけの凄みをある程度感じる事が出来ました。ある程度、というのは、大変に混雑するタイミングだったので、人間の存在感が少し強すぎた事が理由です。普段の何もない時期であれば、鎮守の杜もより静かで神聖感も増す筈。是非、人の少なそうな時にまた行ってみたいですね。以上、伊勢神宮でした。

Powered by Blogger | Designed by QooQ