9月末にMINIが納車され、その3日後に千葉県から兵庫県まで帰省しました。その3日間で以下の通り帰省の準備を行っています。
スマートフォンホルダを取り付け、ナビアプリを利用出来るようにする
ドライブレコーダーを取り付け、万が一に備える
スマホとドラレコへのヒューズボックスからのUSB給電を実現する
この記事では3つ目の項目について書きたいと思います。
具体的に何がしたいのか?
俺のMINIにはナビやPND(ポータブルナビ)が付いておらず、準備の1番目の項目にある通り、スマートフォンを運転席まわりに固定した上でナビアプリを利用します。しかし、このナビアプリというものは画面の常時点灯、GPSの利用、常時通信(アプリによりますが)などの幾つかの理由により、スマホのアプリケーションの中でもかなりバッテリー消費量が大きい部類に入ります。
スマホは、車を降りた時には勿論普通のスマホとしての用途で利用するので、ナビをしているだけでバッテリーがどんどん無くなってしまうのでは困ります。このため車から電源を供給し、充電しながらナビアプリを利用出来る仕組みを用意してやろうという訳です。
給電が必要なのはスマホだけではありません。準備の2番目の項目で設置したドライブレコーダーにも必要です。ドラレコに付属する「シガーソケットから給電するUSBケーブル」を利用する事でも給電可能ですが、シガーソケットは別の用途で使用する為空けておきたかったので、スマホ同様に給電する仕組みを別に用意してやる事にしました。
どのように給電するのか
幾つかの方法が考えられますが、今回採用したのは運転席足元にあるヒューズボックスから電源を取り出し、USBケーブルを生やす方法です。ヒューズボックスは、車やバイクにとってのブレーカーの役割を担うもので、必ず存在します。車の場合は運転席の足元、バイクの場合はシートの脇にある場合が多いです。
▲MINI(R56 2013年式)のヒューズボックスと、昔乗っていたバイクのヒューズボックス
赤、青、黄といった色とりどりのブロック状のパーツが見えていますが、これら一つ一つがヒューズです。ヒューズというのは、電線の間にあって、その電線のキャパシティを超える強い電流が流れると壊れる(ヒューズ内の電線が焼き切れる)事によって物理的に電線を遮断し、電線の先につながっている機器に大電流が流れこみ故障するといった事態を防ぎます。ブレーカーの場合はスイッチ状のものが落ちる事で電線を遮断しており、上げ直す事でまた電線が繋がりますが、ヒューズの場合は再利用出来ないため焼き切れたものを新しいものに交換しなければならないという違いがあります。
このヒューズを、とあるパーツに交換する事によって、この電線から分岐させるかたちで電線を生やす事が出来ます。
※上の2枚の写真では、どちらも既にその様にして電線を生やした状態になっています
生やした電線の先に、インバーターで電力をUSBに対応する様に変換した上でUSBコネクタを繋げばOKです。
まずは必要なパーツを買い揃えよう
それでは、具体的な手順や必要なパーツについて書いていきます。まずはパーツについてです。今回自分が用意したパーツは以下の通り。
※上記写真中のGDR32(ドラレコ)、及びFlexPod(スマホホルダー)については別の記事で取り扱っています
→GDR32(ドラレコ)
→FlexPod(スマホホルダー)
1.USB電源取出ケーブル
スマホの給電用その1。
ヒューズボックスから生やした電線につないで使う、USBコネクタ(メス)です。スマホにつなぐ為にはmicroUSBが必要な為、直接microUSBコネクタ(オス)を生やすのでも良いのですが、USBコネクタ(メス)とする事でスマホ以外にも汎用的に利用出来る様にしました。この商品にはインバーターが最初からついているので、別途用意する必要が無くて楽です。
2.マイクロUSBバンジーケーブル
スマホの給電用その2。
上記USB電源取出ケーブルのUSBコネクタに挿して使う、普通のUSBーmicroUSBのケーブルです。伸縮するバンジーケーブルとしたのは、使わない時に少しでも邪魔にならない事を期待しての事です。これに関しては、片側がUSB(オス)で、反対側がスマホに対応したコネクタ(例えばiPhoneならLightningコネクタ)であればどんなケーブルでも良いです。長さなど、自分にとって都合の良いものを選べばOK。
スマホへの給電用途であるならば「充電専用」と謳っているケーブルを選びましょう。詳細は省きますが、データ交換も出来るタイプのUSBケーブルは、充電専用のケーブルに比べて充電が遅いです
3.USB電源直結コード
ドラレコの給電用。
ヒューズボックスから生やした電線につないで使う、miniUSBコネクタ(オス)です。1同様、この商品にもインバーターが最初からついているので、別途用意する必要が無くて楽です。
4.平型ヒューズ電源
ヒューズボックス内のヒューズと交換する事で、電線を生やす事が出来るパーツです。交換するべきヒューズの大きさやアンペアに対応した商品を選択します。今回は20Aの平型ヒューズとの交換になります。このパーツはヒューズの機能を持つので、交換後もヒューズとしての機能は失われません。
5.Y型接続端子
電線を分岐させるものです。4によって電線を生やし、それを更に分岐させて、それぞれ1と3を繋ぎます。
6.ギボシ端子セット
5と3を繋ぐ為に使います。
7.クワ型端子セット
電流はプラスとマイナスの線がそれぞれ繋がっていないと流れません。この端子を使って、電線のマイナス側を車体に接続する事によってボディアースとします。
8.結束バンド
ケーブルは結構長いので、これを束ねてまとめるのに使います。
¥129 (¥1 / 本) (2022.03.26 時点)
工具について
以下の工具を使います。
電工ペンチ
6と7を、電線に取り付ける為に使います。
検電テスター
電流が流れている事や、プラスとマイナスをチェックしたりするのに使います。
ヘックスローブレンチ
トルクスネジ(星形の穴のネジ)を外すのに使います。電線やUSBケーブルを内装カバーの内側にうまく収めて見た目を良くする為に内装カバーを外しますが、MINIでは内装を固定するのにトルクスネジが使われています。車種や年式によっては通常のプラス/マイナスネジであったり、六角形のヘックスネジであったりする可能性もあるので要確認です。
ペンチもしくはスパナ
ボディアースを取る為に、六角ナットを緩める必要があります。
内装剥がし
今回自分は用意していなかったのですが、作業中に「買っておけばよかった」と後悔しました…。
¥812 (2022.03.26 時点)
各パーツを配線する
上で各パーツについて書いた説明をまとめると、最終的には下図の様になります。
▲・・・これでわかりますかね?(;´Д`)
各パーツを繋ぐ事自体は家でも出来るので、先に家で出来る事は済ませてしまいます。
※後日追記:車内で狭い隙間にケーブルを通すのに苦労したので、繋ぐのも車内でやった方が絶対に良いです
まず、平型ヒューズ電源とY型接続端子を繋ぎます。この2つは最初からギボシ端子がついているので、単純にはめこめばOK。はめこんだ後、スリーブをきちんと被せて下さい。
次はUSB電源直結コードとY型接続端子を繋ぎますが、USB電源直結コードには端子がついていないので、ギボシ端子セットを先につけてやる必要があります。端子をつけるのには電工ペンチをつかいますが、以下の写真でよくわからない場合はこちらを参照して下さい。端子やスリーブにはオスとメスがあるので注意しましょう。
USB電源直結コードの先端。赤がプラス、黒がマイナス。(説明書を要確認)
赤い方にギボシ端子セットのスリーブをはめて・・・
ギボシ端子に電線を挿して、電工ペンチでかしめる
銅線部分をかしめたところ
被覆部分もかしめた
スリーブを引っ張りあげて完成
Y型接続端子につなぐ
写真は撮っていませんが、Y型接続端子のもう一方にはUSB電源取出しケーブルをつなぎます。これまた写真を撮っていませんが、USB電源直結コードおよびUSB電源取出しケーブルそれぞれのマイナス側電線にクワ型端子を取り付けます。USB電源取出しケーブルには、マイナス側にも最初からギボシ端子が付いているので、これを根本でちょんぎって、電工ペンチで被覆を剥いてからクワ型端子を付けて下さい。クワ型端子も、取り付け手順はギボシ端子と同様です。
内装をひっぺがす
次は車内での作業です。運転席周りの内装をどんどん剥がしていきます。カバーを留めているトルクスネジは、基本的にどれも同じサイズです。ただし、一本だけ長さの違うネジがありました。どこのだっけ・・・忘れちゃいましたが、作業時には忘れないように気をつけて下さい。
カバーを外す際には結構固い場合もあるかもしれませんが、気合でバリっといきましょう。ちょっとやそっとじゃ割れたりなんかしないです、多分。あ、自己責任でお願いします(;´Д`) 自分がやったときのやり方は説明出来ますが、それを参考にしたからといって責任までは持てません。
Aピラーのカバー
まずはAピラーのカバーから。Aピラーの上部にある三角形のカバーを、マイナスドライバーなどをねじ込んで外すとトルクスネジが露出するので、ヘックスローブレンチを使って外します。その後、Aピラーのカバーを上から剥がします。カバーは2つのクリップで留められていますが、根本はツメになっているので、折らないように注意。
▲Aピラー上部の三角形のカバー裏にあるネジを外す
右側が根本、ツメがある。白いのはクリップ
クーラー周りのカバー
側面の内装カバーに丸いカバーがついています。これをマイナスドライバーを差し込んで外し、出来た穴に指を引っ掛けてバコッと外します。
丸いカバーを外して・・・
指を引っ掛けて側面の内装カバーを外す。ここに余分なケーブルを隠せる
その後露出した幾つかのトルクスネジを外すと、クーラー周りの内装カバーが外れます(写真無し)。Aピラー内を通したケーブルを、さらにクーラーカバーの内側に通します。ここにあるスペースは、USB電源直結コードのインバーターや余ったケーブルを隠すのに使えます。
ハンドル上下のパネルと内装カバー
ハンドル裏メーターのさらに裏にあるパネルは、手で掴んで手前に引けば外れます。俺の場合はメーターの裏にスマホ固定用のステーを取り付けていた為、これが干渉して取っ払う事は出来ませんでしたが、このパネルの裏にケーブルを通す作業には支障ありません。
ハンドルの下を覗きこむと3つくらいトルクスネジが見えるので、これを外すとカバーが外れます。雑にやるとパネルに傷がつきそうなので丁寧に。その内側にさらにネジがあり、これを外すとダッシュボードカバー(写真中のクリーム色のやつ)が外れます。
▲カバーの裏にもネジがある
運転席足元ドア側 側面のカバー
最後に外すのは、運転席足元のドア側 側面のカバーです。MINIのヒューズボックスがあるところです。このヒューズボックスの蓋が結構硬くて取り外すのに苦労しますが、まずはこの蓋を外します。指を引っ掛ける為のへこみ?がありますが外れず、結局マイナスドライバーを差し込んで外しました。そして、蓋を外した後の縁に手を引っ掛けて、内装カバーをひっぺがします。このカバーは完全に外す事は出来ないので、ヒューズボックス周辺からシートの横あたりまでが外れるくらいにとどめます(下の写真くらいでOK)。この時アクセルが干渉するので、アクセルを踏みながらやりましょう。
▲見苦しい足ですみませんw
このカバーはAピラーのカバー同様クリップで留められているが、幾つかのクリップが車体側に残る場合があります。そのままではカバーを元通りに取り付け出来ないので、車体からクリップを引き抜いて、カバー側に取り付けておくようにします。
ケーブルを接続していく
内装をあらかた剥がし終えたので、ケーブルをMINIに繋いでいきます。尚、マイナスの電線はヒューズボックスの付近に残しておくように注意して下さい。理由は、マイナスの電線を繋ぐ場所がヒューズボックスの付近であるからです。
平型ヒューズ電源を取り付ける
ヒューズボックスに刺さっているヒューズのうちの一つを取り外して、代わりに平型ヒューズ電源を差し込みます。・・・で、どのヒューズを外すのかというと。見ての通り沢山ありますが、それぞれ何に使われている電線についているものなのかを説明する図が車体のどこかにあります(大抵はヒューズボックスの蓋の裏)。
▲MINI(R56 2013年式)の場合はこうなっている
色々な記号がありますが、なんとなくわかりますかね?車種によっては記号ではなく単語などで記載されている事もあるようです。今回はイグニッションオン時、もしくはエンジン始動時に給電するようにします。幾つか利用出来そうなヒューズがありますが、ここではF44のヒューズを利用する事にします。これはシガーソケットにつながっているヒューズですね。
ヒューズを取り外した後、検電テスターでヒューズの左右の向きを確認する事を忘れないで下さい(検電テスターと、平型ヒューズ電源の説明書を参考にして下さい)。俺の場合、ヒューズを取り外すのに結構苦労しました。車種によってはヒューズを取り外す為の道具がヒューズボックスに備わっていたりするらしいので探してみましたが見つからず。硬すぎて指では無理だったので、ペンチを使って外しました。ヒューズはプラスチック製なので、ペンチを使う場合は力を入れすぎると多分割れるので注意。
▲蓋の裏の説明図を見ながら、該当するヒューズを交換する
ドラレコ向けのminiUSBケーブルの取り回し
平型ヒューズ電源から伸びる、ドラレコ向けのminiUSBケーブルはハンドル裏にある穴?隙間?を気合で通し、クーラー付近、Aピラーの根本から引っ張り出します。そうしたら、ルームミラー裏に設置済みのドラレコにUSB電源直結コードのminiUSBコネクタを接続します。USBケーブルをフロントガラスと天井の隙間に押し込んで隠しながら、フロントガラスの外周、そしてAピラーに沿って這わせます。
▲中からも外からも天井に埋め込んだケーブルは見えない
Aピラーの中に最初から存在するケーブルと一緒に結束バンドでまとめて固定し、Aピラーの根本で余ったケーブルは束ねた上でコンバーターと一緒にクーラーのカバー内に隠れるように詰め込んでしまいました。
スマホ向けのUSBケーブルの取り回し
次はスマホ用のケーブルです。こちらもドラレコ用のケーブルと同様にハンドル下を通して、ハンドル裏メーターの裏のカバーのあたりから引っ張り出します。インバーターや余ったケーブルはヒューズボックス周辺のカバー裏に束ねて隠します。
ボディアースをとる
ヒューズボックス付近に、ドラレコ用・スマホ用の2本のマイナスの電線があるハズです。これらは、シートの横からボディアースを取る事にします。シート横のカバー裏に見えるナットを緩めて、2つのクワ型端子をネジに触れるようにしてナットを締め直します。
このボディアースをとった事で、正しく接続できていればイグニッションオンにした時にUSBケーブルから給電がなされるハズです。内装カバーをもとに戻す前に試して確認して下さい。
内装を元通りに戻す
給電がきちんと出来ている事が確認出来たら、剥がした内装カバーを元通りに戻していきます。やった時の逆の順番で進めるだけなので特に問題は無いはず。あぁ、そういえばAピラーのカバーだけ、取り付けるのにちょっと苦労したっけ。根本のツメが中々上手くはまらなかったのだったと思う。まぁ根気よくやればそのうちはまるでしょw
とまぁ、作業はこんな感じになります。特に難しい作業ではないですが、時間はかかるかもしれません。手間がかかった分、自分の車に愛着も湧くってもんですよね!
使用感
これで、イグニッションオン、またはエンジン始動で自動的に給電が開始されるようになりました。
スマホにはこんな感じで繋げるます。使わない時はメーターの裏に隠せば見えなくなる
ドラレコ(GDR32)は、給電が開始されると自動的に録画がスタートされる仕組みなので、エンジン始動させると「Start recording.」と言ってくれます。いい感じ。
スマホも、長時間のドライブにも耐えられるようになりました。・・・が、使用しているナビアプリ(Smart G-Book)は充電が追いつかない程電池消費量が大きいようで、なだらか〜ではありますが少しずつバッテリーが減っていきます。それ以外はとても気に入っているんですけどね〜。他のナビアプリもそろそろ試してみようかな・・・
以上、MINIにUSBケーブルを生やした話でした。